
何気なく注文した日替わりランチメニューの一皿にも、例えば魚のポワレを野菜たちがにぎやかに取り巻き、値段以上の彩りに驚く。さらに味わってみて感激。そんなお店が「ラ・サンテ」。オーナーシェフの長瀬さんが、この秋ホテルを退職しオープンしたお店だ。小学5年生の家庭科で、ほうれん草とベーコンのソテーを作って感激し、以来料理を作るのが好きになった少年時代。
「テレビで『天皇の料理番』という実在の人物をモデルにしたドラマに憧れました。シェフの高い帽子をいつか自分も…と思ったのが、料理人を目指すきっかけです。」
以来、西洋料理ひとすじ、名古屋、高山と仕事を続けながら、フランス語講座と個人レッスンで5年語学を学び、単身渡仏した。2ツ星レストラン『レ・セレブリテ』の魚部門責任者を務め、その後3ツ星レストラン『ロブション』を経て帰国。市内のホテルで調理長を勤めるなど、さらに経験を積んで来た。
「ホテルの仕事は時間には追われますが、確かに安定しています。このまま定年を迎えたら、自分の店を持とうと言う情熱はなくなってしまう…あと5年遅くても独立する気持ちは持てなかったのでは無いでしょうか?今しかない、そんな気持ちでこのお店を作ろうと決意しました。」
高校生、中学生、小学生の3人娘たちも応援してくれた。
「特に小学5年生の末娘が、とても喜んでくれています。栄養士の妻もサービスを手伝ってくれ、家族の応援が心強い味方になってくれました。思えばホテルやレストランでの修業時代も、先輩方の料理に一途な姿勢を間近にしたり、今も刺激をくれる人達との出会いに恵まれたと感謝しています。」
なにしろ料理のことしか考えられない、料理バカですからと、仕込みの手は休まらない。仕込みには思いきり手をかけるが、厨房からお客さんまでの距離が近いこの店では、注文からその場で仕上げ「さぁ、どうぞ召し上がれ」という出来たての料理がモットーだ。自家製の香草オイルなども使い、南仏やイタリア料理を思わせるメニューも多い。
「面倒なフランス料理は出しません。大衆食堂に来るような気軽な感じで楽しんでいただける、肩の張らない料理を作っていきたいと思っています。新鮮な食材を大切に、肉も魚も美味しく味わっていただけるように、ラ・サンテという店名は“健康”という意味を願いにこめました。」
特別な日の料理だけで無く、いつでも食べたくなる味。そんなシェフの繰り出すお皿に期待したい。
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