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四十八滝自然公園の静かな山懐、座敷のすぐ横を滝の清流が流れ、その川音が心地よい。こんな自然の中で出される料理は野趣に富んだ郷土料理を想像しがちだが、その料理に驚いた。素材を選び、しっかりと手を掛けた繊細で、豊かな味わいが広がり、季節の野菜も、さりげないアレンジに箸が進む。ここは創作料理の店なのだ。腕をふるうのは若き三代目調理長、北村家光さん。
「祖父母がこの地ではじめた頃は、ます釣りをして塩焼きを食べていただく、小さな店でした。子供の頃から当たり前のように手伝いをしてきて、自然に卒業後は東京の調理師学校へ、それから10年いろんな店で修業をしてきたんです。」
父の代になり、大宴会もできる現在の店が完成、北村さんも東京で1軒の店を任されるまでになっていた。
「そんな時、父が体調を崩し、一人でこの店を切り盛りするのは大変だと、地元へ帰る決意をしました。せっかく祖父や父が築いてここまでにした店を、終わらせたくないと思ったんです。」
この四十八滝公園を自分の庭のように育った北村さん。滝の自然や伝説をこよなく愛して来た両親とともに、自分の味の追求がはじまった。しかし、とまどいもあった。
「東京では食べることを愉しみ、その価値観も高いものがありましたが、戻ってからは宴会のお客様にも楽しんでいただける料理をと、あれこれ工夫も重ねてきました。」
しかし、女性客や、観光客が「おいしかったから」と再び足を運んでくれるようになる。取材のこの日も、風の盆帰りという団体が去年に続いて訪れ、また来年もと予約をしていくという具合だ。
「町中の店と違い、予約のお客様だけに集中できますから、じっくりと手を掛ける時間があります。また地元で野菜を作っている方やお手伝いに来てもらってる方からも、朝採れ野菜をいただいたり、予期せぬ食材が手に入ったりと恵まれているんです。お客様のお好みや、趣向なども伺いながら、喜んでいただけるように献立も変えています。」
これからはきのこや松茸の美味しい時期、紅葉の季節でもあり心待ちにするお客さんも多いそう。
「父や祖父が作ってくれた店があって、そして現在も支えてくれる両親がいるからこそ、自分は料理だけに集中できると本当に感謝しています。これからはもっと若い人達にも自分の料理を食べて欲しい。喜んでもらえる自信も付いて来ました。」
きれいな水と空気、そして静かな水の音につつまれた環境。この場所ではありきたりの料理など、たちまち見抜かれてしまうかもしれない。確かな技術と、若い感性。北村さんの味の世界がどう広がるか、これからも楽しみである。
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