|

日本の着物は1200年の歴史と文化を持つという。
しかし私達の生活の中で、きものに親しむ機会が減ったのは、一つに自分で着物を装おうことが出来なくなったからだと言われている。
装道きもの礼法教室を主宰し。評議員も勤める阿矢谷さんが、きものを学び始めたのは42才の頃だったそう。
「子育ても手がかからなくなり、自分も何かを学びたいと装道の勉強を始め、きものコンサルタントの資格を得ることが出来ました。
自分が素敵に着たい、美しくなりたいと思って始めたきものの世界ですが、装道の理念が私の生き方を変えるきっかけとなりました。
画竜点睛と言いますが、きものをどう着こなしても、内面的な美しさが伴わないものではいけないと思い、礼法を学び、一人でも多くの方にきものに込められた愛をお伝えしたいと、その後主人の転勤で暮らした名古屋で、教室を持ち精力的に活動していました。
各地域での教室活動、結婚式場での着装、グラビア撮影の着装、また第17回総会では、東海地区代表として帝国ホテルでの体験発表をさせて頂くなど、私自身もっとも輝いた時代でもありました。」
その後、ご主人の定年を機に、故郷高山に戻ることとなったのが20年前。
「高山に戻ってからも、常に私を越えてくれる生徒を願って多くのきものコンサルタントの養成につとめて参りました。
よく着物が着られるようになっても、着ていく場所がない、と言われます。
そんな事から、これまでも様々なテーマでショーを開催したり、高山独特の宴会文化と日本料理のいただき方を学ぶ会を主催したり、私の20周年には二期会員のオペラ歌手を招き、舞台上で蝶々夫人の着装とアリア『ある晴れた日に』のオペラ、ショーやコンサートなども企画し、多くの皆さんに楽しんでいただけました。」
企画から司会、ナレーションまでこなす阿矢谷さん。
楽しみながらも、何かを学んで欲しいといつも考えを巡らせるのが心底楽しいそう。
この春まで10年、高山高校の非常勤講師として生活教養という授業を勤められた。
「日常生活の中で心得ておくべきマナーを中心にした授業です。
礼とは相手を尊敬し、すべてに感謝することで、よりよい人間関係を実現することであり、上下関係なくして礼法は有り得ないと云われております。
座る場所ひとつにも上下関係がある事や、日本間のある家が減り、敷き居や畳の縁を踏まないなどのマナーが分からない子供達が増えています。
美しい立ち居振るまい、言葉遣いなどを主に、ゆかたの着装ときものの知識のカリキュラムを組んできました。
その中でも、クリスマスにはティーパーティを開催し、紅茶やケーキの頂き方など本当に楽しい授業になりましたね。
毎年、家庭科の卒業発表には一年間学んだ事を文化会館のステージで発表するのも生徒の大きなよろこびでもありました。」
これまでの生徒達が終了時に提出した感想文も大切に保管されている阿矢谷さん。
そこには『社会に出たときに、本当に役立つことを教えてもらった。』と素直な喜びの言葉があふれている。
「これからの時代を担う高校生たちとの触れ合いは、生き甲斐にもなりました。この子供達が、礼の心を身に付けて、社会に出てからも美しい人生を生きて欲しいと思います。」
来年喜寿を迎えられるという阿矢谷さん。常に好奇心と行動力にあふれ、楽しむパワーに変えてしまう。
学ぶということは、人生を豊かに彩って、膨らませてくれるものなのだと感じさせてくれる方だ。
|