地底1,000メートル、スーパーカミオカンデを擁する地下空間の静寂の中で、音楽を波動にかえ聴かせたお酒が4月12日発売になった。
空地音(そらちね)と名付けられたこのお酒は、昨年開発中に小柴昌俊東京大学名誉教授がノーベル物理学賞を受け、その祝い酒として商品化され、二千本の限定品はたちまち完売になったそう。
このお酒を製造するのが飛騨市神岡町の大坪酒造店、大坪社長だ。
辛口の神代、甘口の飛 娘など、伝統ある地酒づくりを続けている。
「もとは神岡町の若手経営者グループ『おくひだ起業研究会』が、神岡鉱山の広大な坑道を活用したオリジナルの商品開発を進めており、その第一弾として話が持込まれたのです。
地下空間でお酒を貯蔵する、そして音楽を聞かせるというアイデアは面白いと思ったものの、果たして一企業で出来るのか?といった疑問がありました。
しかし、研究会のメンバー
はそれを実現してしまったんです。地下空間で音楽を波動に変えて聴かせることでお酒の分子構造が変化し、まろやかな味に仕上がるといわれています。そんなイメージが具体的になってきた所で、小柴名誉教授のノーベル賞受賞のニュースが舞い込みました。おかげで新聞社に取り上げられ、商品はその日のうちに完売したんです。」
そして1年、さらに音楽を波動に変えるための装置を導入し、今年もさらに自信をもった楽醸酒、空地音が出来上がった。音楽には現在ニ胡のトップアーティストとして活躍中であるウェイウェイウーさんのアルバムが採用された。
酒という日本古来の文化に、新しい世代が夢を託したのがこのお酒だ。
「天保13年の創業以来、160年伝統ある手作りの酒造りを大切にして来ました。
新潟杜氏の樋口定男さんを迎え、今では若手の社員がその技術
を学んでいます。
酒造りは夜中も麹の手入れや世話など、近代化のない作業です。
休みもまま成らぬ仕事ではと、少し前までは若い希望者もいませんでした。
今では自分でものづくりをする喜びを求めて、若い社員が育ってくれています。
空地音のように夢を持たせた製品にも、イキイキと取り組んでいますね。
このお酒は、研究会のメンバーが企画し、また周りが一生懸命動いてくれている、なにか運命のようなものを感じますね。」
今年は要望に応え、5,000本の限定生産となり、飛騨地区でも店頭に並ぶ予定だ。
「今年の空地音は自信が持てる味に仕上がりました。地域と酒造りにかけたみんなの夢を感じ取っていただけたら嬉しいですね。」
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