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工房 布紙木(ふしぎ)
菅沼 守さん

岐阜県飛騨市古川町
壱之町5−26

TEL&FAX
0577−73−6477



飛騨市古川まつり会館の一角、こつこつと切り絵を創る姿に、多くの観光客が足を止め、その作業に目を細める。
にこやかに応対しながらも菅沼さんの手は動き続ける。
その作品は白壁土蔵の町並みや、勇壮な起こし太鼓など、古川の情景がモチーフだ。
もの心付いた時から図画工作が好き、古川を題材に何か絵が書いてみたいとおもいつづけた少年時代。
そんな菅沼さんだが10代の頃、仕事中の交通事故で怪我を負う。

「手に職をと大工見習いをしていた21才の頃から、事故の後遺症で入院と療養をくりかえすことになってしまいました。
手術の後、寝たきりの時間を紙とペンを持ち、絵を書き続けていましたね。
これまで趣味でしかなかった絵が、自然に自分のすべてになってきました。」

ある時切り絵が自分の描きたかった古川に合う手法ではないかと、独学で切り絵を創りはじめる。
それが地元誌に取り上げられて切り絵作家として自然なスタートとなった。

「身体が丈夫でなかったことで、逆に自分の好きな事を学ぶ時間が持てたのだと思います。
お金も場所もとらない、なにより人に迷惑をかけないですから。」 と笑う。

12年前からまつり会館で実演を始めるが、訪れた人を驚かせたのは菅沼さんが「おもしろ木彫り」と呼ぶ実物大の木彫りアートだ。
本物そっくりの落花生は殻が割れたものや二つに折れたものから、大きさも様々。
実物大の鰯はまるで香りをかぎたくなるようなリアルさだ。
缶ビールからは泡が吹き出し、箸袋の箸は取り出してみたくなる。
これらは全部木で彫り上げた作品。しかもこのおもしろ木彫りは驚く事に菅沼さんのまったくの趣味の世界だという。

「毎日切り絵の作品作りに4時間向き合います。
ハガキサイズで2〜3日、大きな作品で1ヶ月半かけ、1枚ずつ切っていくんです。
こうした作業に疲れた時に、頭を開放して楽しみながら木を彫って作ったのがこれらの作品なんですよ。」

当初はミニチュアを作り始め、米粒大まで馬を彫り上げたりしていたが、リアリティを追求して現在の実物大アートへと変化していった。実演でも驚きの声があがる。

「小さな頃、屋台の龍をみて、いつか自分もこんな龍を彫ってみたいと思っていました。
自分には好き、やる気、根気の3つがある。
怪我の後遺症がきっかけで本当に自分のやりたい事を学び、向き合う時間が持てたんです。」

8年前には工房「布紙木」もオープンし、おもしろ木彫りの作品に触れる事もできる。

「生きている、人の気配がする、そんな作品を作っていきたいですね。」