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環境ジャーナリスト
村上 敦さん


環境ジャーナリスト 村上敦さん

ドイツ「フライブルク」という地名を知っている方は環境通であると思う。
スイス国境に近いドイツ南西部に位置するこの街は3分の1が森、西にライン川が流れ、シュバルツバルト、黒い森のふもとに位置する学園都市だ。
 しかしなによりこの都市が世界的に有名になったのは、環境保護運動の取り組みである。
現在フライブルクに住む高山出身の村上敦さんは、岐阜工業高等専門学校で土木工学を学び、93年卒業後、某ゼネコンの現場監督として首都圏の人口埋立地を担当する。
そこで4年半に渡り東京湾の埋め立ての惨状を目のあたりにした。
50年後、100年後に埋め立てたゴミから有害な物質が流れ出ても、誰が責任をとれるだろうか。
 会社を退職した村上さんは環境首都で有名なドイツ・フライブルク市へ留学。
フライブルク大学でドイツ文学などを学ぶ傍ら、ドイツの環境政治・行政を意欲的に学ぶ。
フライブルク地方市役所の建設局において半年間勤務。
現在は主夫を勤める傍ら、翻訳と通訳、環境視察のコーディネート、NPOエコロジーオンラインのフライブルク通信員としてレポートなどの活動を行っている。

「実はドイツの森はほとんど人間が作ったものなんですよ。」
と村上さん。

手付かずの自然と中世の趣き、私達が想像するドイツのイメージには意外な言葉だ。

「日本では人の手が加わっていないものを自然と呼びますね。
実はヨーロッパはアルプスが大きく東西に走り、氷河期には種が何度も絶滅をくり返してきたひ弱な土壌なんです。
また古くから発達した炭坑や鉄鋼、ガラス産業のために、木を切りつくし、自然破壊を先駆けてやってしまった国なんです。
ドイツで自然と呼ぶのは、人が作り守ってきたものも総称しています。」

陸続きのヨーロッパはチェルノブイリなど災害も他人事ではない。
フライブルクでは70年代の原発建設反対運動をきっかけに市民と行政が環境保護運動に積極的に取り組むようになった。

「ひとり一人のモラルの高さが社会的に求められます。行政に関しても市民参加のプロジェクトが当り前なんです。
例えば公園を作りますね。
市民が楽しむための公園ですから、1年間という時間をとって市民に説明会をくり返し行い、民意をコーディネーターがまとめて役所に提出します。
その上で役所からの返答があり、計画がまとめられていくんです。
住宅地の開発においても、どんな町にしたいのかフォーラムを作り、住民が参加して二人三脚で進めるのが当たり前なんですよ。」

誰もが無関心ではなく、世論と政治が一致しているのも日本と違う点だという。
現在、日本のNPOなどから講演の依頼を受けることもある村上さん。

「日本も市民レベルでは決して意識が低いと思いません。でもドイツと比べるとシステム作りが下手で、政治が機能していないですね。
リサイクル法によりドイツでは容器包装が大幅に減りゴミが40%減ったと言われます。
現在の日本は分別回収にお金と手間が掛り過ぎますね。
ゴミはまず作らない、それを考えていく必要があると思います。」

周囲を豊かな自然に囲まれ、観光地として町にゴミも少ない飛騨高山。
私達はその環境から、ゴミ問題や環境問題に深刻さを感じにくいのかも知れない。
しかし豊かな自然に囲まれているからこそ、大切にしていかなければならないものがあるのではないだろうか?

「ドイツのアイデアで日本で取り入れられるものがないか、テーマを絞って研究し紹介していきたいと思っています。」

他人事ではない、自分達の事だけを考えていれば良いのではない、村上さんの考え方はヨーロッパの人々と同じ温度を持っている。