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坂田 俊子さん
しのぶ食堂

高山市下岡本町3070-5
TEL 0577-33-8431
営業時間/7:00〜19:00
定休日/日曜・祝日


写真右/カツ丼 600円
写真左/天丼 650円

カウンターに煮物や焼き魚といった手作りのおかずや小鉢がならぶ、昔ながらの定食屋。
高山でも少なくなったそんなスタイルを守っているのが「しのぶ食堂」だ。
坂田さんが母と二人でこのお店を始めたのは、現在30才になる息子さんが1才を過ぎた頃。
問屋町に近く、工事関係者の多かった当時、店はたちまち繁昌し、会社勤めをしていたご主人も店に立つほどになった。

「毎日きて下さるお客様のために、単品のおかずをあれこれ並べお好きなものを選んで頂くという定食を続けて来ました。
既製品は一切使わず、家庭の味、母の味のような手作りを守っています。」

しかし、時代の流れと環境の変化で、コンビニやファーストフードも登場し、坂田さんもお客さんの変化を肌で感じるようになる。

「このままの店でいいのだろうかと悩みました。
そんな時息子に、いつまでも過去にこだわったり、取り越し苦労をするのは無駄な労力だと言われたんです。
プラス思考で前に向かって進む様に力を使おうよ、と励まされましたね。」

そんな言葉がきっかけになり、定食に加えてカツ丼や天丼、すき焼き丼などといったおいしい丼メニューを始めた。
初めて来るお客さんでも、迷わず気楽に食事をしていただけるようメニューも表示し、若いお客さんにも満足してもらえるボリュームと価格が好評だ。
良いものは残して、新しい挑戦もしよう。
そんな気持ちで工夫をこらしている11月の終わり、しのぶ食堂に一人の青年が立ち寄った。

「背には大きなリュック、首にはカメラ、手には三脚を持った青年でした。
カツ丼定食の大盛りを食べ終わって、その青年が声を掛けてくれたんです。
『とてもおいしかったです。元気がでました。自分は東京から歩いて旅をしています。郡上を通り紀伊半島を目指していますが、せせらぎ街道にはどうやって行くのですか?』とボロボロの地図を出されました。
何かに挑戦しているのですかと尋ねると、『まだ名もないカメラマンです。徒歩と野宿で全国を廻り、人とふれ合いながら写真を撮って旅をしています。』と。
いつかは写真を発表したいという青年でした。
夜は寒いから身体に気を付けて頑張って下さい、と励まして掛けた言葉に、実は自分自身がとても励まされたんです。
若い人も頑張っている、私も自分のできる事を精一杯頑張ろうと元気が湧いてきたんです。」

そんな出会いが、何より嬉しいと笑顔がこぼれる坂田さん。

「人との出会いやふれあいを大切に、一人でも多くの人に「おいしかったよ」と言われるような店になれたらいいですね。」

朝も早くから仕事に向かう人が朝食を食べ、昼は元気を補給し、夕方は家庭の味にほっと和む。
そんなお客さん達にとっても、しのぶ食堂の味と笑顔は励ましになっているだろう。