赤ちゃんが自分で立って歩けるようになった時のように、自転車に乗れるようになった時もまた、私達の世界と行動範囲は大きく広がった。
子供時代から一番身近な移動手段として、また遊び道具として親しんでいる自転車。
「サイクルセンター ナガクラ」は自転車専門店として、古川で創業51年、高山店をオープンしてこの夏10周年を迎える。
高山店はロード、マウンテンバイク、BMXといったスポーツ車を得意とする専門店だ。
「主に物を運んだり、移動の手段だった日本に比べ、欧米では自転車は遊びと、スポーツをコンセプトに発展して来たように思います。
自転車は、人それぞれが自分のスタイルとペースで楽しめる魅力があり、最近ではその目的に応じた自転車を選ぶ方が増えてきました。」
量販店が既製品の自転車を並べて売るのに対して、専門店では7分組といって、半製品になったものをお店でその人の体型に応じて組み立てて作り上げる。
フレームからフルオーダーで作り上げる店で修業をした永倉さんの技術も売る店なのだ。
「以前は仕事と趣味は別の物と考えていましたが、最近は仕事が趣味と言えるようになって来たんです。
今は楽しみながら仕事をしています。お店で仕入れて組み立てますから、強度や性能が分かります。
だから自分自身が安心して薦められる商品を提供しようと思いました。
お客様の求めにどれだけ満足いただけるものを提案できるか、そして技術面では細心の注意を払い誠心誠意、仕事をさせていただくということですね。」
持てる力をお客様に喜こばれるために使うことが、永倉さんの仕事を大きく変えていったそう。
一人ひとりのお客様に対しても、同じ趣味を語り合う時のように生き生きと表情も楽し気だ。
自転車の楽しみを提案する場として、年1回主催するマウンテンバイクの2時間耐久レースも今秋で9回目を数える。
家族や職場の仲間での参加など、自転車を持っている人なら誰もが参加できて、楽しめるイベントだ。
「この厳しい時代に、自分のお店に来て頂いたこと、毎日仕事をさせていただけることに感謝していきたいですね。
自分のお店さえよければという考えではなく、同業者みんなが仲間として盛り上げていきたいと思うようになりました。」
この先は、自転車店もディスカウント店と専門店に二極化されていくのだろうと言われる。
実際に乗って試せるコースがあり、走って来た人が気軽にくつろげる喫茶コーナーやBMXの練習もできるようなテーマパークを作ることが夢だと永倉さん。
「自転車の楽しみは、自分の足で無理をせず走れて、季節を感じながら自然と一体感を味わえることですね。
そして自分の持てる力を最大限に生かせる道具でもあると言えます。
歩いて行けそうにない距離も、自転車なら行ける。車で移動していては気が付かない木陰の涼しさや、草木の匂い、小さな自然を感じることもできます。
15〜20kmで走れば、いつでも止まって散策もできますから、道端の自然に親しむことだって出来ます。
車に積んで旅やアウトドアにでかければ、遊びの範囲はさらに広がるんです。」
自分自身と向き合うことで、周りが見えて来る。自分の足で無理をしないペースを楽しみながら、行動範囲を広げて行く。
そして共鳴しあえる人間関係が広がる。仕事においても趣味においても、楽しむコツは同じなのかも知れない。
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