創業は江戸末期という歴史を誇る「角正」。
江戸期の代官のご典医屋敷だったと言う母屋に、飛騨の自然をそのまま映したようにしずかな年月を物語る美しい庭。
高山ならではの食材に、上方と江戸仕込みの技を融合させた精進料理は、江戸や京都からの文化を取り入れた高山祭りの屋台にも通じる世界かもしれない。
「先日、郷土館から江戸時代の献立表がでてきました。100年以上前から地元の皆様に育てて頂き、同じ商売をさせていただいているというのは、有難いことですね。」
と角竹さん。
現在は京都瓢亭で修業をしてきた11代目の息子さんとともに、板場に立つ。
「団塊の世代と言われる私達ですが、その親の世代が現在の日本の礎を築いてきたのだと思います。
そのバイタリティゆえ、世代交代がうまく出来なかったのではないでしょうか?
団塊の世代は個性的でありながら突出することを好まず、頑張りが足りない世代なんですよ。」
と笑われる。
現在は板場のほとんどを11代目が取り仕切り、その見極めをするのが角竹さんの仕事だ。
「私達は景気が悪いからと言い訳もしますが、若者達はもっとありのままにとらえていますね。
商いをしていくことは甘いことではないと、ごく当たり前なんです。
そんな素直さから生まれる活力を生かしてあげたいと思うようになりました。
角正の育んできたものと、自分が学んできた新しいものを合わせながら模索する姿に、学ぶものが多いですね。」
伝統を重んじてきた感のある料亭だからこそ、次に伝承するための世代交代は鮮やかなのかも知れない。
最近では、少人数の結婚披露宴なども増え、結婚する本人達の希望で使われることがあるのだそう。
和蝋燭の明かりだけで始まる宴、特別な演出などなにもない代わりに、さりげないおもてなしが心地よい。
「日本的なものを新鮮に捉えておられるのでしょう。サービスの本質も、年齢には関係なく伝わるものです。
私自身も様々なレストランや料亭に足を運びますが、お客様が主で、リラックスできるサービスに感動をします。
来て頂いたお客様には、心から寛いで、そして満足と誇りを感じていただけるような店でありたいですね。」
土にも木にも時代を感じさせる庭を歩きながら、ここに流れた時を思う。
「今は子供の夢をどうやって創ったら良いかを考えるようになりました。それが私の夢ですね。」
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