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ボッカボーナ
BOCCA BUONA
高山市上岡本町7−218
TEL 0577−32−9777
営業時間
AM11:00〜PM2:30
PM5:30〜PM9:30
水曜定休


扉を開けると、オープンキッチンから美味しそうな匂いが、さぁどうぞ、と呼び掛けてくる。
イタリア料理の「ボッカボーナ」は、そんな気取らない雰囲気とおいしい空気に包まれた店だ。

この2月で3周年を迎えたシェフの村山さんは、17才から厨房に入った。
料理人なら誰もが、いつかは自分の店を持ちたいと願うものだが、村山さんがこの店を開店した転機は何だったのだろう。

「名古屋で働いたイタリアンレストランの料理に、カルチャーショックを受け、イタリア料理の店は漠然と考えていました。
25才の頃、イタリア料理ではないのですが、縁あってあるレストランを任されたんです。自分もまだ若く、料理人として成長しなければならない時なのに、厨房で自分より年上のスタッフを育てるという責任をおい、自分の気持ちに伸び悩みを感じていた頃がありました。
そんな時、かつての先輩から、お前はなんで自分の店を持たないんだ?と聞かれたんです。まだそんな器ではないと答えると、先輩から店というものはお客さんと一緒に育っていけばいいんだよ、と言われたんです。」
その言葉に肩の力が抜けた村山さんは、任されていた店でも気持ちを切り替え、頑張ることが出来たと言う。それがやがて決意となり、自分の故郷の高山で、ボッカボーナを開店する。

「自分の店を考えた時、もちろんちょっとアッパークラスのこだわりの料理をだすリストランテが理想でした。でもその時に先輩に言われたように、店がお客さんを育て、お客さんが店を育てるという事が大切だと、今のような食堂スタイルにしました。女の子同士がお財布を気にせず楽しんでくれる店がいいと思ったんです。」
今ではリゾットがインスタントでも売られているが、3年前はまだその味になじみがなく、リゾットをメニューに加えたのも開店を1年過ぎてからだったと言う。

「料理人のこだわりというのは実は危険なもので、時としてお客さんが求めているものとズレてしまう事があるんですね。
私達はお客さんを『もてなす側』なのですから、お客さんの声に耳を傾ける必要があると思います。幸いオープンキッチンですから、お客さんの反応を感じることが出来ますし、その反応で直ぐメニューから外したものもありますね。」
しかし、イタリア料理のシェフとして、その美味しさにはこだわりがあり、時として店が一人歩きしてやりたい方向とは違うと感じたこともあるそう。
「自分がゆずれないものは何なのか、そこを守ってさえいれば、きっと自分のやりたい道へ戻ってくると信じて来ました。3年たってお客さんに育てていただいた部分、黒板メニューでもちょっとした驚きを提案したりしています。」

和の食材にイタリア料理のエスプリを盛り込んだメニューや、その日の値打な食材でつくり出す黒板メニューを、楽しみにチェックするお客さんも多い。また、お客さんと育つという意味からも、毎年料理教室も開催し、和気あいあいと交流をしながら、イタリア料理を身近に感じてもらう機会をつくってきた。今年はアウトドアでのピザ教室などの企画もあるそう。そんな村山さんが、悩んだ時にひとり手にするものがあるという。
「3年前、銀行に提出した事業計画書を店に置いているんです。誰もが店を始める時、金儲けだけで開店する訳ではなく、お客さんに喜んでもらうという夢があります。なんでこの店を始めたか。その気持ちを見直してみるんです。」

この店は村山さんだけの店でなく、この味にひかれるみんなの店である。