
近年、環境問題は新しい常識として、私達にとっても家庭における廃棄物処理など身近なものになってきている。太陽を起源とした生物由来のエネルギー「バイオマスエネルギー」という言葉をご存知だろうか?
下谷さんが木質バイオマスエネルギーであるペレットを知ったのは3〜4年程前、アメリカから帰国した友人が板金加工を請け負う彼のもとへ持ち込んだそう。
「アメリカではこういう燃料が一般的に出回っていて、バーベキューや暖房器具にも使われている。しかし、日本には器具がないため、ペレットを使えるものが作れないか?という話でした。調べてみると日本でも30年前からペレットストーブは生産されていましたが、改良などの進化も無く何故か全く普及していない事が分かったんです。」
エネルギーとしてのペレットの可能性に興味を持った下谷さんは、ある日新聞の片隅に小さな環境フォーラム開催の記事を見つける。そこには日本ペレットクラブ後援とあり、東京のホテルが会場であった。
「なんのつてもなく、会場に出かけました。フォーラムの内容は環境庁の報告などが続き、ペレットについて知りたいのに来る場所を間違えたか…と不安になりましたが、壁に展示されているパネルにペレットが紹介されているのを見つけ、会場の係にここの人に会いたいと声を掛けたんです。」
それが下谷さんとペレットストーブの出会いとなった。
ストーブや火力発電、ボイラー等の燃料になるペレットは、木を粉末にして水分を飛ばし、直系7mm、長さ15mmほどの円筒状に圧縮加工したものだ。材料となる木は建築廃材や製材所で用途がなかった樹皮、オガ屑、木端、流木や倒木など、これまでただ焼却されていたものである。
しかし、この12月、焼却炉の規制強化に伴い、木質廃材の処理も莫大な費用を要することとなった。こうした流れの中で、ペレットに注目し、行政ぐるみで取り入れている自治体も出てきている。
「岐阜県は森林が地域の特徴のひとつなのに、バイオマスに関する組織がありません。これではおかしいと、賛同してくれる皆さんと一緒に南飛騨バイオマス研究会も発足しました。」
木質ペレットは燃焼効率が良く、灰や煙も出にくい。燃焼時に排出される二酸化炭素も、木が持っていた分を排出するだけで、再び植物に吸収される循環型の資源である。
ペレットストーブの代理店として販売するなかで、下谷さんは自社で もペレットストーブを開発中だ。
「ペレットストーブが普及するためには、国産品が必要だと感じました。家全体を暖める習慣の欧米では、ストーブも大型のものが多く、これでは外車を輸入して、クルマを日本に広めよう!と言っているようなものです。国産品と輸入品、どちらも生活者が選べるというのが、普及には必要なのでは無いでしょうか?」
下谷さんが製造したペレットストーブはこの1月、試作品が発表され、2月から販売がスタートする。
合わせてショールームも萩原町に完成した。
「子供達には資源や自然を大切にと教えれば行動できることが、大人になるほど難しいのです。行政だけに頼るのではなく、民間主導型でひとり一人の意識が変わり、社会が動くというのが理想だと思います。」
タバコのフィルター程のペレットは力強い火力をもつ。 この原料が、いままでは廃棄されていたのだということにも驚くが、ペレットストーブの暖かさを実感し、こうした考え方が暮らしに浸透している欧米の本当の豊かさを感じた。
それはこのストーブが不便でも不足もなく、むしろ機能的であり心癒される魅力を持っているからである。
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