
今でこそ、家庭と仕事を両立している女性は珍しくないが、美容師という仕事はかつてより、女性が生涯をかけられる職業の一つであっただろう。そんな美容師の仕事をもつ母親の背中を見て育った2人の女性が、同じ道を選び、また母の跡を継いでいる。
「すんなり二代目だから美容師に、という訳ではなく、私は美大に、妹は外国語を学ぶため英文科に進み、別の道を志した事がありました。それは両親が私達に与えてくれた大切な財産となっていますね。学生時代に母に付いてブライダルの仕事を手伝ったことがあります。その時、早変わりのようなお色直しの技術に驚き、そして会場の幕が上がり花嫁を迎える拍手と、その横の母の姿を見て、人に感動を与えられる母の仕事は改めて素晴らしいと感じました。」
そんな気持ちから、美容師を目指すことになったと、現在はプリンス-L・O・F-店に勤務している長女の志水恭子さん。ただ家が美容室だからという流れではなく、その道のりは女性らしいしなやかさが感じられる。
「最初はひとりのスタッフとして必死でした。先輩方に学んだことが大きかったですね。母とはいえ、店では先生とスタッフの関係ですから厳しいものでしたが、それでも母の存在が心の拠り所ではありました。」
と次女の殿垣内智子さんは当時をふりかえる。現在は-flap-店のチーフとして勤務する。
「今まで母が築いてきたものを大切にしながら、これからを考えて行きたいと思っています。現在3店舗ありますが、それぞれに個性もあり、またお客様も小さなお子様・学生からメンズ、ご年配の方まで、中にはご家族ぐるみでご来店下さる方もいらっしゃいます。お客様がリラックスできて楽しい時間を過ごしていただける店にしたいと考えているんです。そういう意味で、お客様と母とスタッフに感謝していますね。」
と智子さん。現在は姉妹それぞれ母親となり、意識も変わって来た。
「-flap-店の先生は全日本美容講師会のメンバーなので、トップレベルの技術をいち早く学べるのも恵まれていると思います。それに、どんなに技術が優れていても、まずは美容師としての人格が何より大切であると常に母は指導します。私達も子供を持って、あらためて思い遣りや感謝の気持ちを感じることができました。お客様に夢を与えることができる私達の仕事に誇りをもち、お客様の魅力を引き出して輝かせるかが、私達の腕にかかります。鏡の中のお客様の表情が変わって行く時、そしてありがとうと喜んで頂いた時が最高に嬉しい瞬間ですね。」
母の姿を見て、同じ道を選んだ2人の女性。「お客様に感動を与えたい」そんな思いが確かに受け継がれていくだろう。
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