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下呂温泉 望川館 副社長
熊崎 次彦さん


望川館03

望川館客室


下呂市湯之島198 TEL0576-25-2048
http://www.bosenkan.co.jp/

ランプシェードの間接照明と落ち着いたフローリングの床。木の家具やインテリアが部屋ごとに異なる趣の客室「六花選」。昨年誕生したこの客室は、ゆったりとした落ち着きとプライベート感覚が好評だ。

「当館にお越しいただくお客様も団体旅行から、家族や友人との個人旅行へと流れが変わって来ています。そんな中、5年ほど前に以前からありました離れの客室「山水亭」を露天風呂付き客室にと改装し、好評を得ていたんです。」

最近では居酒屋やレストランでも隠れ家のような「個室ダイニング」が流行するなど、より自分達の空間を大切にすることが喜ばれているが、下呂温泉でも当時、露天風呂付き客室は珍しい頃だった。

「個人のお客様はインターネットや旅行誌で情報を集め、プライベートな感覚や雰囲気を求められています。当館のように収容力がある大きな規模の旅館で、どうやってその要望に応えていくか?そう考えた時、逆に今まで『使いづらかった』スペースがあることに気が付いたんです。」

増改築をしたことで、お客様が『行きにくい』フロアがあり、あまり使われることがなかった客室だ。

「悪いスペースが、発想を逆にすれば、落ち着いたプライベート空間になるのでは?と考えました。そこのフロアを思いきって区切り、他のお客様から隔離することで新たに露天風呂付き客室「川の寮 四季彩」をつくったんです。」

まるで小さな宿を訪れたように門を設け他の泊り客とは一線を画した空間。廊下も畳敷きに、部屋のスペースも広く、和の寛ぎと上質な時間を予感させる客室となった。そして昨年完成したのが「六花選」だ。

「当館は純和風な日本旅館ではありません。ですから逆に、どんな部屋があっても良いのではないか、と考えたのがきっかけです。小さな規模なら雰囲気を統一して、というのが大切でしょうが、この規模だからできる思いきった変化を楽しんでみようと…。インテリアも四角四面ではなく、あえてプロのコーディネーターを入れず、図面もひかないまま遊びの部分を出してみたんです。地元の家具作家にお願いし、フローリングも生の木を何度も塗りこんで節目と色合いを楽しめるものになりました。キズがついても逆に味になっていけるような仕上りに喜んでいます。それぞれの部屋が違ったインテリアと遊びがあり、お客様がそれを楽しんで、『今度はこの部屋に泊りたい』と部屋指名が入るようになったら嬉しいですね。お食事も宴会場で、というスタイルだけでなく食事処やレストラン、料亭個室含め、55部屋分を用意しました。昨年は15名程度の宴会場を、お年を召した方も快適に過ごせるようテーブル席へと作り替えています。」

下呂温泉で今から180〜190年前の文政年間より、多くの湯治客を迎えて来た望川館。老舗の伝統とは新しい挑戦なくしては続かないものなのだろう。

「大きな改修ではなく、少しずつ思いをこめながら手を入れる。そして気が付いたら大きく変わっていた、となりたいですね。お客様に情報を発信するのにも、新しい話題がなくてはお便りすることもできません。今も新しいことを考えています。」

これまで弱点だったスペースが逆転の発想で変わる。一歩ずつの新しい挑戦はまず、自らを振り返って見ることからヒントが見つかるのかも知れない。