
下呂の街を見下ろす高台にあるホテルパストール。メインダイニングでもある「レストラン ラ・ポアルドール」の素材の風味を引き出した本格的なフランス料理は、都会から訪れた舌のこえた客をも満足させると定評がある。このレストランで飛騨でも珍しい女性ソムリエ、「ソムリエール」の資格と「1級レストランサービス技能士」をもち、サービスに勤める大沢妙子さん。レストランの仕事は「ホスピタリティ」であるという。お客様一人ひとりに、心のこもったおもてなしをするために、勉強中の日々だったそう。
「もと全日空のスチュワーデスで、ソムリエの資格を持つスタッフが入社してきたんです。彼女の姿勢や仕事に刺激を受けて、私も試験に挑戦してみようと決意しました。」
当時はワインブームの勢いもあり、レストランでも高級なワインを所望する客が増えていた。
「勉強しなければサービスできない状況でもあったんです。仕事に疲れて帰って、試験勉強は辛いこともありましたが、楽に流されないために常に目標を持つことが大切だと感じましたね。逆に試験に合格してから、目標がなくなってからも勉強を続けなくてはならない現在のほうが大変なんです。」
ソムリエールの仕事は、ただ単にワインをお勧めするのではない。お客様にレストランでの時間を心地よく、くつろいでいただくための影の演出家であり、またシェフとお客様の間を結び、より料理を美味しく楽しんでいただくための橋渡し役にもなる。
「本を読むのも映画をみるのも、花やお茶など幅広い知識をもつことも、サービスの勉強に繋がるんだと思いますね。資格をとってからはサービスに自信が持てるようになり、またソムリエバッジを付けていることで、お客様から期待される部分もありますから、恥ずかしい接客は出来ないと身の引き締まる気持ちになりました。」
特別なサービスではなく、お客様に何気なく寛いでいただけるのが、大沢さんの考えるサービスだ。今は自分のための勉強ではなく、若いスタッフの教育に取り組んでいる。
「このレストランを1日1組貸し切ってのレストランウエディングが好評で、パーティーも増えて来ました。一生に一度のセレモニーですから、今しかお会いできないお客様をおもてなしする気持ちでサービスをしたいと思っています。結婚式はスタッフ全体の協力とコミュニケーションが大切なんです。自信を持って私達のホテルに来てください、と言えるようにしたいですね。」
現在は料理研究家の山本益博さんがアドバイザーをつとめ、料理人、サービスが素直に学ぶという気持ちでステップアップを目指す。ソムリエにとってワインの知識をもつことは当然で、それ以前に大切なのは接客業である、という意識をしっかりと持つ事だと言う。ワインの種類をたくさん知っているよりも、たくさんのお客様の笑顔を知っている方が優れていると言うことだろう。
「お客様から言われるのですが、ここは本当に自然が美しいんです。そんな当たりまえのことが、なにより喜んでいただけるのではないでしょうか?」
大沢さんのホスピタリティは、勉強を重ねることでより自然体に近付いて来たのかも知れない。
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